令和6年能登半島地震後の子どものこころを守るための提言

日本小児精神神経学会 災害対策委員会より
令和6年能登半島地震後の子どものこころを守るための提言

全国の保護者のみなさまへ

 本年元日の令和6年能登半島地震、それに続く羽田空港航空機事故の発生により、被害に遭われた方々や当事者の方々はもとより、様々なメディアを通じてこれらの情報に接する人々の中にも、心穏やかでない毎日を送っている方が多数おられると思います。こうした状況下においては、こどもたちが塞ぎ込んでしまったり、不眠やイライラ等の普段と違った反応を見せることがあることを、阪神淡路大震災や東日本大震災の経験が示しています。そして、それらの反応は、災害や事故の映像に繰り返し接することで悪化する可能性があることが知られています。
 それを防止するためには、そうした映像に過度に触れることのないように配慮するとともに、普段よりも家族で一緒に過ごすことを心がけ、子どもが「怖い」・「悲しい」・不安などの気持ちを表現したときには、穏やかに耳を傾けて率直に話し合うようにしてみましょう。そうすることで、こどもたちに安心安全の感覚がもたらされ、こころの健康維持につながることが期待されます。
 全国の保護者のみなさまにおかれましては、子どもたちが衝撃映像に過度に触れることのないよう、特段のご配慮をお願いいたします。

マスメディアのみなさまへ

 この度の令和6年能登半島地震において、発災直後より積極的な取材と情報の提供を続けてくださっていることに深く敬意を表します。現地の様子を映像で確認できることが、被災地の現状の理解に極めて重要な役割を果たしていることは論を俟ちません。しかしながら、その一方で、それらに繰り返し曝露されることにより、期せずして深く傷つく子どもたちがいることもまた事実です。つきましては、今後の報道に際し、以下の点にご留意いただきたくお願い申し上げます。

⚫︎災害発生時の映像、特に人々が恐がっている映像を繰り返し流すことによる心理的影響への配慮
⚫︎子ども、特に神経発達症(発達障害)を持つ子どもにとっては、これらの映像を繰り返し視聴することは非常に強い刺激になり、さまざまな心身の不調を来し得ることへの配慮
⚫︎放映する際には、事前に警告を入れるなどの工夫をする等の配慮

以上、ご理解の上、特段のご配慮をお願い申し上げます。

2024年1月5日
日本小児精神神経学会
災害対策委員会

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